2025年、親業訓練協会が設立45周年を迎えます。設立45周年に際し、記念特別講演会を担当することとなりました。
講演にむけて、これまで講座を受講された方々の声を伺いたくアンケートを実施したところ、44名の方からご回答をいただくことができました。
多くの方に丁寧にご回答いただけ、これから講座を受講しようと検討されている方のご参考にもなるのではないかと思い、そのご回答を全4回に分けてご紹介していこうと思います。

第3回の今回は、「ゴードンメソッドを多くの方が学ぶことの価値があると思いますか?」という質問への回答をご紹介します。
【質問3-1】ゴードンメソッドを使うことは難しいでしょうか?
5が「とてもそう思う」、1が「全く思わない」という5段階評価で回答いただきました。

【質問3-2】難しいと感じる方にお聞きします。ゴードンメソッドを使う難しさはどんな点ですか?
「難しい」と回答された方に、どのような変化があったのかをうかがいました。(複数回答くださった方も多くいらっしゃいました。)いくつかジャンルに分けてご紹介していきます。
自身の感情・余裕によって
- 私が使いたくないというエゴを留めておけない時
- 感情が先走るときは難しい
- 意識して使わないとできないので、自分に余裕がないと、また元に戻ってしまう
- 時と場合による。自分が「受容領域」か「非受容領域」かは会話によってグラグラするので、そういう時のとっさの判断は難しい
- 自分自身が問題を抱えている時に、「受容線」がどこにあるのか、わからなくなる。
- 常に意識ができないこと。感情的になってしまうと、全て吹っ飛んでしまうので、上手に使いこなすのは本当に難しいと感じます。
- 疲れなど体調で途端に使えなくなる自分がいます。じっくり考える事が浅くなり、この時の言葉選びの幅が狭くなるのが課題です。
- 常に心にゆとりをもった状態でゴードンメソッドを使えるわけではない上に、教科書通りに事がすすまないことがある点。
自身の癖・意識
- 自分の癖を直さなければいけないこと。長年の癖を直すのは難しく感じます。
- 相手が我が子だと、分かっていても助言したくなるので。
- これまでの癖を変えることに時間がかかる。表現することを我慢していたり、相手の気持ちを聞くことをせずに推測して済ませようとしたり、家庭でも職場でもいろんな場面で、気づかないうちに自分を抑え込んでいることに、気づくことがあります。
- 「〜しなければ」と思う時点で、「行動の四角形」での整理が間違ってるんだ、と思う。もっと自分に正直になることが大切であるとわかっているが、自分にも相手にも「こうあるべき」が捨てられないところ。
- 理論を学んでも、受講を重ねても、方法を使うことを意識していても、日常に、そしていろいろな相手に、いつも使えるかというと、なかなかできていないことも多いと感じます。だから、簡単ではないかとも思います。 しかし、できないかというと、意識して学んで、周囲の人たちも一緒に使う環境にいることで、より使いやすくなり、使う機会が増えるという、プラスの循環はあると感じています。
- 今までのものの見方からそう容易く現場ではメソッドに切り替えが出来ないこと。いままでの価値観を切り替えるのは、頭で理解して居ても相手、子供の前では出来ない難しさを嫌と言うほど体験し、味わい、落ち込み、投げやりになってしまった。今までの親から脱却できず無力感に引き落とされました。親失格とは頭でわかっても、メソッドは変わるのは崖の上から身を投げる様な勇気を求められるのだとおもいました。勇気を出して、崖から身を投げる覚悟が必要かと思いためしたことがあります。
相手によって
- 自分が攻撃されていると思う場面では使えないと思います。
- 主人に使うのは難しいです。
- (お子様からのご回答)威圧的な相手、口調の強い相手に能動的に聞くのは難しい。
- 「わたしメッセージ」が、学び始めた当初からどうしても苦手。特に、相手から否定的な事、怒りをむけられると慌ててしまい、「わたしメッセージ」を作る思考に至らない。自分が慌てている時は、相手の行動、自分への影響を言葉にすることは難しいと思う。さらに、もともと自分の感情に鈍感なこともあり、時間がたってからでないと、感情の認識ができないことがよくある。
練習が必要/時間がかかる
- 訓練しなければ、言えない言葉がたくさんある。
- 使いこなすまでは、 子どもの言っていることに集中できず、 メソッドの使い方について考えていた時間が多かったと思う。 又、出来ない自分にフラストレーションが溜まった。
- メソッドを頭で理解していても、話を聞いた際、瞬間的に自分の感情が湧き上がってきてしまい、口にしてしまうことで子どもの自立を阻んでしまう点
- テキストで学ぶ事例やクラスメートの話は客観的に見れて対応策を考えられるが、自分の事になると客観的に見られなくなる点。身につける為に訓練が必要な点。
- 時には聞けない日もある。自分をみつめ続ける、ゴードンメソッドを意識し続けることが大切だと思う。
- 訓練が必要。生活の中で自然にできていることがあれば、意識していないことも多いので、自分でできているのか自己判定できないかもしれません。そこも難しいところでしょうか。
- やはり考えなくては行けないことが多く、会話の中で取り入れるとなると「あれ?どうやるんだっけ?」となることがありました。ですが、慣れてしまえば簡単に出来るようになるので、それまでの我慢ですね!
学び続ける必要性
- 常に学んでいかなければと思います。
- 学びを続けていないと忘れてしまう。身についてきた(と思えるのに)に時間がかかる。そのため、使い続けていく自信が持てなくなることがある。
- すぐに結果を求めたい人には難しいと思います。継続して学び続けることで、徐々にできるようになっていくものだと実感しています。
- 会話をしている時には気付かず、あれは「問題」だったのかな、どう言えば良かったのかなと後で思うことがある。なかなか身に付かない、身に付いたと思えないところ。
その他
- 理論を学ぶことは難しくないと思うのですが、実践にうつす行動力を持つのが難しいと思いました。
- 上部だけさらっても見抜かれる奥深さが面白さであり、自分の努力で上達し続けられるものであるが、習得はいつまでもできないと感じるところ。近い関係だと感情が強く動いてゴードンメソッドがふっとんでしまう
- メソッドとしては確立されていて、難しいとは言えないかもしれませんが、表面的に使っても、実は子どもに見破られます。自他分離など、本質的なところが出来ていれば簡単なのかもしれませんが、そこが出来ていないまま使っても。なかなか難しいものがあるように思います。
- つい「あなたメッセージ」を言ったり、解決法を決めて話したり、何が本当に「問題」なのかわからないまま話し合ってしまいます。
- 「勝負なし法」は、主人を説得するのを諦めて使えなかった。
- ここ数年、総じて人との関係において、自分の「非受容領域」が以前より広がっていることを実感。身近で困っている人の役にたちたいと思いつつ、以前より、「受容領域」で出来ることが少ないので、自分がもどかしい。
- (お子様からのご回答)難しくなかった。

次回は、ゴードンメソッドを多くの方が学ぶ価値についてを見ていきます。
▼今回のアンケート紹介記事は全4回です。今回の記事は3回目です。